わたしはこのひとほどうつくしいひとを見たことがなかった。
うつくしいという言葉は陳腐だけれどもわたしはこの言葉が大好き。うつくしいものはうつくしい。
可愛いよりもうつくしいものが好き。ライト(彼は好きに呼ぶといいよと云ってくれたのでわたしはライトと呼んでいる。お願いしたらわたしのこともミサと呼んでくれた)はとても綺麗だと思う。こんなに綺麗なひとをわたしは見たことがなかった。レムも初めて見たときなんて綺麗なんだろうと思ったけれどもライトはもっと綺麗だった。
ライトがわたしに微笑みかけてくれたらわたしは嬉しくて嬉しくて死んでしまいそうになる。
もしわたしが死ぬのならライトに殺してもらいたいと思う。
(きっとライトはいつかわたしを殺すだろう。けれどわたしはそれでも構わない)
ライトの綺麗な顔を見ながら死ねたらいい。ライトの細い指がわたしの名をデスノートに書く。
その瞬間ライトはきっと笑うだろう。
ライトの死神が云っていた。
「ライトはひとを殺すときいちばん綺麗な顔をする」
わたしは命を賭してもその顔を見たかった。
ライトの唇が動く。
「さよなら」
ゆっくりと呟いて、そして出来ることならばわたしの名を呼んでもらいたい。
ミサ。さよなら、ミサ。
わたしはその感触を天国でも地獄でもないところにもってゆく。
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