02:歪んだ


 ビルの焼け跡の片隅に、鈍くひかるものがあって、僕はそれにおそるおそる手を伸ばした。爪でつついても熱くないことを確認して、手のひらに載せる。煤けた金属はぐにゃりとゆがんで、いびつな形になっていた。これは一体なんだろうと思って、気付く。・・・・・・ああ、これは地下室の鍵だ。僕が遊戯くんとゲームをした、父さんがありったけの呪いを詰め込んだ部屋の鍵。でもあの部屋はもうない。燃えてしまった。みんな、何もかも。壁を、柱を、床を、憎しみを、ありったけすべて炎が飲み込んで、消してしまった。
 おーい御伽ー、と誰かが呼ぶ。御伽くん何処にいるのー?とわずかに高い声が風に乗って届く。ねぇみんなでなんか食べに行こうよー。
 僕は、ズボンの煤を払って立ち上がる。いま行くよ! 叫んで、鍵を瓦礫のなかへ放り投げる。おおきく肩を回して、足を振り上げて。きれいな放物線を描いて、歪んだ鍵は消えていった。さようならと僕は呟く。
 にくしみと狂気の残骸に背を向け、僕はみんなの元に向かって、走り出した。
 笑顔で迎えてくれるみんなのところへ、僕も笑って駆け寄ってゆく。

 僕らにもうあの部屋は必要ない。




vs御伽戦はすごく好きなエピソードのひとつです。
アニメの方はまだ観れてないんですが・・・ということでもれなく御伽が偽者です。すみません・・・。
それにしてもアニメで御伽戦はなぜあんなに改変されているのかと。なぜ王様が闘う・・・orz
エピソードは原作、キャラクタはアニメというのがマイベスト御伽(なんのこっちゃ)です。
08.01.04(日記より)

追記)もうアニメの御伽戦観ましたよ!
色々と設定がアニメ的にアウトだったんだろうなとはわかってるんですが、
やっぱり原作スキーなのであの改変はつらい・・・ちょうかっこいい相棒の見せ場が・・・!!orz
これは物書きさんに20のお題(http://20odai.gozaru.jp/index.htm)より『銀』で書いたもの。
日記でお題更新しようかな!と思ってたんですが途中で力尽きたらし(ry
UP日:2008.04.21