03:地下鉄


 地下鉄に乗っていると外がまったく見えないから時間の感覚がなくなる。
 1分も10分も1時間もぜんぶ一緒みたいな気がして、ただガタゴトと振動に身を任せるだけでつまらない。ちいさな子どもじゃないのだから外の景色が見えなくて退屈だ、というわけじゃないけれども、それでもコンクリートばかりの味気ない同じような景色じゃげんなりしてくる。
 さっきまではしゃいでいた疲れが来たのか、みんな眠ってしまっている。駅名からして、まだまだ乗り換え駅までは遠いだろう。
 ガクンと電車が揺れ、となりに座っていた遊戯くんの頭がこてんと僕の肩に乗ってきた。僕は彼を起こさないようにそっと体勢を変えて、自然なかたちになるようにして肩に凭れさせた。遊戯くんの髪の毛が僕の頬をかすめ、かすかに潮のにおいが香った。海の名残り。遊戯くんと城之内くんは人一倍はしゃいで、海辺を駆け回っていたから、疲労もよっぽどなんだろう。ちっとも起きる気配がなくて僕は忍び笑いを零す。
 すうすうと規則正しい寝息を聞きながら、僕は、いまなら繋いでもバレないかなあと膝の上に投げ出されたちいさな手を見つめながら考えていた。




みんなで海に行った帰りかなんか。
よく考えたら童実野町って海あるけど遠くに行ってたってことで・・・。
バクラも出そうかと思ったけど収拾つかなくなりそうなのでやめました。
ちょっと時期外れの頃で、海水が冷たくて足しか入れないくらいがいいな。
08.01.05(日記より)

これは物書きさんに20のお題(http://20odai.gozaru.jp/index.htm)より『銀』で書いたもの。
日記でお題更新しようかな!と思ってたんですが途中で力尽きたらし(ry
UP日:2008.04.21